高校生レストランの奇跡

 三重県多気町で高校生が運営する「まごの店」の設立に携わった町職員の回顧録

かなりぶっ飛んだ学生時代のエピソードも面白いが、自由気ままな学生生活と地元の町役場での社会人生活とのギャップに苦しんだこと、職場に馴染めなかったのは自分自身に問題があったこと、なども正直に述べられており、面白い。

この人は、根っから人が好きなんだろうと思う。もちろん、「地元のために」という熱い思いをお持ちだと思うが、まず自分の興味や人との繋がりの中で面白そうなテーマを見つけて、周囲の人を巻き込んでのめり込んでいく。そうした熱量の高さを感じます。

そこまでの熱量は自分にはないけれど、たまたま割り当てられた職場で、最初は縁もゆかりもなくても、自分の興味・関心を広く持ち、関心に引っかかったことには自分でトライしてみる中で、やがて自分にしかできない仕事を見つけていく、というのは、今後の職業人生をどう生きていくかのヒントになると思いました。

「つかみに行くものがあるときは、今つかんでいるものを捨てなくてはいけないことがある」「絶対に軸をぶらさない」(p.72)

「随分長い間考え続けて、やっと気づいたのです。「策」ではなく、自分自身の考え方を変えるだけだと。」(p.136)

高校生レストランの奇跡

高校生レストランの奇跡

  • 作者:岸川 政之
  • 発売日: 2011/07/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)